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世界のIT企業のここ2年間の激動をワンピースで例えてみた


kayabaakihiko.hatenablog.com

当時のIT企業の動向をワンピースで例えた↑こちらの記事を読んでワクワクしたことを昨日ふと思い出し、「この記事を読んでからもう2年も経ったのか...!」と時間の流れの速さに衝撃を受けました。


この2年間でワンピースの世界では、頂上決戦後の四皇の動き、黒ひげの新たな動き、革命軍の勢力拡大、海軍の新体制への移行などなど様々な動きがありました。

同じくIT業界でも、新産業への移行に向けてGAFAがしのぎを削り、中国企業が台頭してきて、政府が規制を強化させてきており、いつ勢力図が塗り替えられてもおかしくない激動の2年間となりました。


ここ2年間でのIT業界の動き

四皇(Google、Apple、Amazon、Facebook)の動き

Google(赤髪海賊団)

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ITベンチャー発祥の地シリコンバレーのスタンフォード大学で学んだ学生によって生まれたGoogle。

その存在感は政府も無視できない大きなものとなってしまっている。Googleは政府の規制を避けるためにロビイング活動が欠かせない。Googleのロビイング費用は年々上昇している。※1 ※2


Amazon(百獣海賊団)

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自殺行為に思えるほどの過剰な投資を断行して赤字になろうとも、絶対に倒産しない不死身企業Amazon。Whole Foodsを買収してAmazon GOの試験店舗の導入、Amazon Echoの積極販売、ドローン配送への投資など、便利な生活を求める消費者のためにサービスを拡大し続けています。


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その過剰投資が可能なのも、競合と比較して圧倒的なキャッシュ・コンバージョン・サイクルを持っているから※3。どれだけ生活データが取られてしまうと知っていても、Amazonでポチっと買い物をすることの便利さ、Amazon Prime Videoのコンテンツが充実しすぎていて、圧倒的な利便性を求めてAmazon Primeに加入さざるを得ない。AmazonはPrime会員から安定的なキャッシュとユーザー購買データを供給されています。


Facebook(ビッグマム海賊団)

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サンジの素性と経歴をいつの間にか洗い出していて、圧倒的な情報網を持つことが明らかになったビッグマム海賊団のように、圧倒的な情報ネットワークを誇り、世界の繋がりを密にすることをミッションに掲げるFacebook社。


政治・選挙関連データ分析企業のケンブリッジ・アナリティカが5,000万人分ものFacebookのユーザーデータを不正利用したとされる事件では、批判を一手に受けたFacebook。※4)この事件は政府がFacebookに対して、ユーザーデータの扱いに関して責任を追求する形となりましたが、Facebookは政府からもユーザーデータの開示請求を受けています。※5


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FacebookのCEOマークザッカーバーグは、米上院公聴会で政府に対して誠意をもって対応しました。さらなる締め付けを受けたくはないため、政府との関係性を保っておくことはとても大事。※6


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拡大路線を続けるFacebookによって買収されたInstagramとOculus社。パルマー・ラッキー(Oculus社の創業者)、ケヴィン・シストロム(インスタグラムのCEO)と、マイク・クリーガー(同社CTO)が退任することはFacebookにとって大きな痛手。


Microsoft(黒ひげ海賊団)

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AppleとのOS競争に勝利し、Facebookが時価総額を落とす中、新たな投資領域を携えて勢力を拡大させているのがMicrosoft。Microsoftに入社してサラリーマンからのたたき上げでCEOとなったナデラ氏は、「人工知能」「複合現実」「量子コンピューター」の3領域を旗印に掲げ、投資領域も拡大させています。※7

MR(複合現実)の領域ではHololensを開発して業界を牽引し、人工知能の領域では、Hololensに搭載する予定のAIチップの開発、さらには工場や小売店、様々なデバイスに搭載して連携することができるAzureの開発・普及に取り組んでいます。全貌はわかりませんが、量子コンピュータの領域でも投資を進めているのでしょうか。


世界政府(米国、中国、EU、国連)の動き

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欧州連合(EU)は、EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation)によって、個人情報保護・個人データの処理と移転に関するルールを定めた法規制として2016年4月に制定され、2018年5月から発効。

中国政府はIT企業への規制強化を進め、認可を受けていない事業の営業停止、株式の取得による経営権の獲得など、IT企業への厳しい制約を課すようになってきている。


海軍3大将(テンセント、アリババ、サムスン)の動き

赤犬と青キジ(テンセントとアリババ)の衝突

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デリバリー市場・シェア自転車・EC・オンライン決済など、テンセントとアリババは買収劇を繰り返して壮絶な戦いを続けていたアリババとテンセント。そんな状況の中、2018年9月にアリババの会長職にあったジャックマーの突然の引退宣言。理由は詳しくはわからないが、中国政府のIT産業への締め付けを懸念してとのこと。※8)壮絶な力を持ったまま第一線を引いた彼の今後の動向からは目が離せません。


青キジと赤犬が大将から抜けたことで、新たな実力者が台頭してきました。

藤虎(ByteDance)

動画アプリの「Tik Tok(ティックトック)」やニュースアプリの「今日頭条(Jinri Toutiao)」、Tik Tokの中国国内版の「抖音(ドウイン)」などを展開する新たな大将ByteDanceが誕生。※9

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破竹の勢いで成長を続けるバイトダンスに対して、テンセントが模倣プロダクトで攻勢をしかけるなど両者の緊張関係は続く。


緑牛(Magic Leap)

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そしてもう一企業、まだその実力も存在も謎が多いMagic Leapが、とうとうプロダクト「Magic Leap One」開発者版を発売開始します。

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まだ米国の一部の地域での限定販売になっていて、その実力を知ることができるのは一部の有力な開発者のみ。※10)謎が多い存在だが、元大将のアリババに実力を評価されていて出資を受けている。


革命軍(Binance、イーサリアム財団)の動き

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イーサリアムの生みの親ヴィタリックブテリンや、世界長者番付に新登場したリップルCEOのクリス・ラーセン、仮想通貨取り扱い高で最大手となったBinanceのジャオ・チャンポンCEOなど、新たな勢力が急速に存在感を増してきて政府や四皇は危機感を露わにした。

これまで続いてきた政府や企業の基本思想「中央集権型」に対して、パワーバランスやデータが双方向に分散している「分散型」の新たな社会構造を創り出そうとしている。


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日本でも新しいメディアの形を模索するALISや、トークン開発・セキュリティ問題に取り組むGunosyのLayerX、現実世界と違う世界を新たに作り出そうとするメタップスのEXAなど、ブロックチェーンに可能性を見出すスタートアップが急増。


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一気に露出が増えて期待値が上がりすぎた反動か、壊滅的な状況に陥っていると世間では報道されるように。これからどのように社会実装されて革命が起こるのか、メディアの情報では見えてこず、最前線で戦っている人たちにしかわからないのかも。


日本企業で例えるなら、麦わら海賊団はどこ?

2年前の記事では、麦わら海賊団はメルカリだとされていましたが、日本企業でApple・Microsoftの頂上決戦に戦いを挑むことができて、かつ少数精鋭の企業はどこかな?と考えると、違う企業が浮かび上がってきます。

その企業こそ、大躍進中のメルカリを時価総額で上回る技術集団のPreferred Networks。


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過去にGoogle本社でインターンを経験しておきながらもGoogleに就職することはなかった岡野原氏と西川氏が率いるPreferred Networks。


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「100人のエンジニアより、1人の天才」や、「受託はやらない。外部資本は入れない。技術的に面白くないことはやっても仕方ない。うちの会社じゃなくていい。共同研究をやるかどうかの基準は面白いかどうか。」という方針を掲げ、少数精鋭で人数が少ないにも関わらず老舗大手企業と提携して困難な技術的課題の解決に取り組んでいます。※11

GoogleやApple出身のメンバーもいて、トヨタやファナックや日立製作所などの日本を代表する大手企業から資金調達・事業連携を進めている。※12




四皇・政府・革命軍・麦わら海賊団の2年間の状況を見ると、2年間だけでIT企業の動きや勢力図は劇的に変わってきている。




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1939年にビル・ヒューレットとデイブ・パッカードが出会い、小さなガレージから始まったヒューレット・パッカードカンパニー。


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そこからシリコンバレーで数多くのIT企業が生まれた歴史は、ロジャーとレイリーの出会いのよう。*13




...ワンピース読み直そ。


【参考資料】
※1 Why is Google spending record sums on lobbying Washington? | Technology | The Guardian
※2 Revealed: how Google enlisted members of US Congress it bankrolled to fight $6bn EU antitrust case | World news | The Guardian
※3 amazon 世界最先端の戦略がわかる
※4 Facebookの個人データの不正利用について、ようやくザッカーバーグが重い口を開いた|WIRED.jp
※5 Facebookの個人データの不正利用について、ようやくザッカーバーグが重い口を開いた|WIRED.jp
※6 ザッカーバーグの公聴会後、フェイスブック本社が「安堵の空気」に包まれた理由|WIRED.jp
※7 マイクロソフト・ナデラCEOが掲げる3つの投資領域 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION
※8 ジャック・マー突然の引退発表の謎:日経ビジネス電子版
※9 Tik Tok運営の中国企業、企業価値「8兆円」でウーバーを突破か | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
※10 「Magic Leap One」開発者版がついに発売--約25万円、米6都市限定 - CNET Japan
※11 「われわれは100倍、速く書ける」――PFI 西川徹:特集:学生起業家たちの肖像(5) - @IT
※12 トヨタも虜にする「天才が憧れる天才」AI企業、PFNゴールデンチームの全貌 | BUSINESS INSIDER JAPAN
※13 シリコンバレーの歴史 世界一の起業・投資エコシステムはいかにして育ったのか? - 仮想サーファーの日常


紹介した企業の本など

GAFAがどれだけ私たちの生活に根付いているのか、Amazon、Apple、Facebook、Google各社に関して詳細に説明されている。未来の生活が想像できてワクワクしてくる良書。


新しい技術は「必要性」がないと受け入れられない。では、ブロックチェーンは我々にとってなぜ必要なのか??を知ることができる。説明もわかりやすいのでぜひ読んでみて欲しい一冊。


「GAFAが最強だった時代もあったよなぁ。」と言われるようになる日も近いかも?

中国でSNS・ゲーム・小売・物流など様々な事業展開をしているテンセントがどのように事業展開してきたのか。政府との交渉・パクリと呼ばれても事業を進めた話など、日本の事業環境とは全く違う弱肉強食の世界で生き残り急成長した話が知れる良書。


若者の間で大流行しているtiktokを運営している会社バイトダンスとは。なぜこんなにも動画が流行したのか、これからどうなっていくのかが考察されている良書。



では!