元マイクロソフトの代表取締役である成毛 眞さんの『amazon 世界最先端の戦略がわかる』を読みました!
「Amazonってアマゾンゴーとか、AWSとか、ドローン事業とかやってて、なんとなくすごいよね!」とざっくりとした印象しかなかったのですが、この本を読んでAmazonの何がすごいのか、今後さらにどのような事業展開が考えられるのかを知ることができ、AmazonのAmazonたる所以も腹落ちしたような気分になりました。
「Amazonのこと、今後10年間の小売・物流・データ・金融のあり方を知りたければ、この本を読んでおけば大丈夫!!」と言えるほど様々な角度からAmazonのことが紹介されている良書でした。簡単に読んで印象に残ったことを書いておきます。
読んで印象に残った点
参考になった点をまとめておきます!!
Amazonのキャッシュフロー経営
Amazonはキャッシュフロー経営を成功させている代表的な会社として知られますが、そもそもキャッシュフロー経営とは何がすごいのか。ということが具体的な数字とともに解説されていて、スッと理解することができました。
支払いを行ってから、売り上げが上がるまでの期間のことをキャッシュコンバージョンサイクル(CCC)といいますが、Amazonはその指標がエゲツない。
小売事業を運営しているウォルマートなどは10数日のキャッシュコンバージョンサイクルとなっているため、10数日分は自社として資金を確保しておく必要がある。しかし、Amazonはその数値が-28日とマイナスの値になっていて、商品を仕入れてから支払いを行うよりも28日前には売り上げをあげているような状態になっている。
そのため、EC事業での売り上げが上がれば上がるほどキャッシュを潤沢に保有することができ、その分を投資に回すことができるという稀有な状況を作り出すことができている。
https://www.virtual-surfer.com/entry/2018/09/29/193000www.virtual-surfer.com
キャッシュフロー経営の考え方とその効果に関しては↑の本で分かりやすく解説されていました。
大規模投資で他社を次々と飲み込むAmazon
Amazonの事業展開の特徴として、「より早く安く豊富な商品を提供する」というものがあり、その基本に従って様々な商品を提供している。EC事業においては、もともと専売契約していたトイザらスを飲み込み、ザッポスを買収して取り込み、衣料品の売り上げ総額は世界でも最大規模になってきている。
競合が参入をためらうような赤字も厭わないほどの低価格によって、一気にシェアを獲得して、サービス提供コストを下げつつ他の事業との補完関係によって収益をあげていくモデルを得意としていて、EC事業をもとに獲得した顧客データを利用して事業者向けに高金利の有志サービスを提供したり、ABF(アマゾンバイフルフィルメント)という事業者が商品の在庫管理・販売・配送を任せ、商品力だけに集中できるサービスを提供するなど、各事業で補完関係を生んでいる。
過去日本企業でも半導体市場において規模拡大による市場シェア独占のモデルがみられたが、Amazonは複数事業を展開しつつ、どの事業で収益を伸ばすかという選択が秀逸であるため成功しており、日本企業はどの事業で収益をあげるのかを見誤ったから失速したのではないかと本書では指摘されていた。
ダッシュボタンは広告費を生む?
Amazonダッシュボタンが提供され始めて一時期話題となりましたが、1個500円でボタンを販売するモデルでAmazonは赤字にならないのかな?と思っていました。しかし、ダッシュボタンを家に設置してもらうことで各メーカーは自社の商品を定期的に購入してもらえるようになる。という意味では、各メーカーの広告宣伝の機会として活用されているのではないかという指摘がされていました。
確かに、アマゾンダッシュボタンで採用されるために、商品の宣伝広告費にかけている莫大な費用を振り向けるという選択はあり得そうだなと感じました。ダッシュボタンをメーカー視点で捉えたことがなかったので目からウロコの思いがする仕組みだなと。
Amazonの事業に関して、なんとなく知っているという状態だったのが、この本を読むことで点と点が繋がってAmazonの事業展開の全体像が少し見えてきたような感覚になりました。
プラットフォームの作り手企業で働いているビジネスマンも、プラットフォームをどう生かすかを検討しているビジネスマンも読むと学びが多い本だと思います。
まとめ
以上、『amazon 世界最先端の戦略がわかる』の書評でした!
ここまで詳細かつ多面的にAmazonのことを紹介している本だとは思っていなかったので、読めて大満足でした。
今回読んだ本は基本的に事業の話に終始していた本だったので、ジェフベゾスさんの本も改めて読もうと思いました。
では!