先月2020年4月に人生で初めての転職をして、Webエンジニア正社員として2社目の会社で働き始めました。
今回はじめて転職をするにあたって、何から始めればいいのか迷ったり、何を準備しておけばいいのか知りたかったけどググっても情報が見つからなくて困りました。
そこでこの記事では、Webエンジニアが初めての転職を考え始めて、転職完了までに何をする必要があるのか。実際にぼくがやったことをまとめておきます。これから転職することを少しでも考えているWebエンジニアの方に向けて書きます。
※この記事に書いている内容は参考程度の一例にすぎないことにご注意ください。
転職事例は季節要因や、個人の人脈、面接官との相性など様々な要因が重なった結果として生まれるものなので。
読者の方が実際に転職される際には、状況が変わっている可能性もあります。
前提:筆者の業務経験など
前提として、転職することになった筆者の業務経験、技術的な経験に関してをざっくりと書いておきます。
業務経験:3年 | ・100万人以上が利用するWebサービスのサーバーサイド開発
・システムリニューアルのプロジェクト |
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技術経験 | ・サーバーサイド:Java 3年(業務)、Python 2年(個人開発)、Ruby 半年(業務)
・フロントエンド:Angular、HTML、CSS 半年(業務・個人開発) ・インフラ:AWS 半年(個人開発)、GCP 半年(個人開発)、Heroku 1年(個人開発)、Docker 1年(個人開発) ・データベース:MySQL 3年(業務)、DynamoDB/Redis/Cassandra 1年(業務)、PostgreSQL 半年(業務) |
転職理由・次に希望する環境 | ・PythonかGolangをメインに、フロントエンドの開発も任される環境
・社員数が100人以下 ・保守運用よりも新機能開発が求められる事業フェーズ |
希望の年収/単価 | 正社員採用の場合は現職以上、フリーランスの場合は現職の1.5倍
※ 希望言語の業務経験なしという状況だったので、現職年収から下がらなければ嬉しいという希望でした。 |
転職市場で見ると同じような経験として多そうな、Webサーバーサイド開発エンジニアでした。
転職を考え始めてから転職完了までにやったことの概要と期間
まずは、転職を考え始めてから転職を完了するまでに、いつ・何をしたのかをまとめておきます。
2019年12月
・転職を考え始める。
・自分の職務経歴書をまとめて、転職サービス・フリーランス仲介サービスに登録していく。
2020年1月
・次の環境に求めること、希望条件をまとめる。
・転職先の希望条件に合いそうな企業に片っ端から応募していく。
・フリーランス仲介会社との面談
・数社と転職の面談
2020年2月
・数社と面談、面接
・直属の上司に退職の報告
・内定を数社からいただく
・転職先決定
2020年3月
・退職手続き
・入社手続き
・有給消化
12月に転職を本格的に考え始めて、そこから2月末に内定が出て転職活動を終了したので、準備含めて3ヶ月程度かかった計算になります。
僕の場合は、希望する開発環境・報酬がもらえるのであれば正社員でもフリーランスでもどちらでもよいという意向で次の職場探しをしたので、一般的な転職活動よりは面談に多くの時間を使い、期間も長引いたと感じています。
最終的には自分の希望する条件の会社に内定をいただいて転職することができたので、それぞれの期間で具体的に何をして、やってみてどうだったかを含めてまとめておこうと思います。
2019年12月:転職を考え始めて、職歴をまとめる
年末に自分の1年間のやってきたことと、来年やっていきたいことをぼんやりと考えていて、今までは本格的に考えていなかった転職を考え始めるようになりました。
転職を考えるきっかけとして特に大きかったのは、エンジニアとしてリモートで働ける副業先を探して複数社と面談した際に、メインで開発経験のあるJava以外での開発環境で採用してもらえなかったことでした。
このまま現職でJavaの開発メインで経験を積んでも、仮に他の言語への転向を考えるとすぐには転向できないことを初めて知って、自分の市場価値の低さとそもそもエンジニアの採用市場での技術的経験の価値を知らなさすぎる。今後自分が取り組む仕事を考える上で、エンジニアの採用市場・自分の市場価値の向上にしっかり向き合わないといけないなと思い始めました。
この頃は自分の転職の市場価値もよくわからず、転職やフリーランス転向をもしする場合に何が必要なのかも全く知識がありませんでした。
まずは情報収集と現状把握が大事だなと思ったので、エンジニアの動向に関しての本を読んだり、転職に関する本を読んだり、フリーランスとして働いているエンジニアの記事を読みあさったり、自分がこれまでどんな仕事をしてきたのか職務経歴書をしっかりとまとることに時間を使いました。
職務経歴書は、↓の記事を読んでどのように書いたらいいのかをざっくり学んでから書き始めました。
見たいエンジニアの職務経歴書の書き方 - Qiita
→職務経歴書の書き方、それぞれの項目で何を強調して書くかを学びました。
エンジニアが転職する時に考えることを採用面接官をしてる立場から書いてみた - Qiita
→そもそもエンジニア採用担当が何を見ているのか、職務経歴書では何を見るのかを学びました。
転職に関しては、motoさんの『転職と副業のかけ算』がダントツに参考になりました。
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転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方
moto (著)、扶桑社 (出版)、2019年8月9日 (発売)
Kindle¥1,283、単行本¥1,540(2020年5月8日現在)
転職×副業で「10年で年収を20倍超」にした「次世代型サラリーマン」のモデルケース。
転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方 | Kindleストア | Amazon
求人票をどう見ていくのか、自分の職歴をどうまとめるのか、仕事・キャリアにどう向き合うべきかなど実体験をもとに具体的にまとめられていてありがたかったです。
自分の職務経歴書をまとめ終わったら、転職とフリーランスに関してのサービスに片っ端から登録していきました。
転職に関してはGreen・Wantedly・LinkedIn・Geekly。
フリーランスに関しては、レバテックフリーランス・geechs jobをメインで利用しました。
他のサービスも知っているものは全て登録したものの、ほとんど使いませんでした。
2020年1月:希望条件をまとめて、応募と面談をし続ける
年始に実家でしっかり時間を使って、自分の次の職場探しの希望条件をまとめて、年始からレバテックフリーランスとフリーランス案件の紹介の面談を設定し、WantedlyとGreenで気になる企業に片っ端から気になる(面談希望)を押していきました。
気になる(応募)した企業は、100社くらいだと思います。
ちなみに、もともとフリーランスと正社員での転職で最適な方を選ぼうと考えていましたが、レバテックフリーランスで面談を行い、僕の場合はフリーランスの案件だと希望にかなうものが見つからないとのことでした。
業務未経験の言語への転向・報酬は下げたくない・自分の経験あり技術外も積極的に関わりたいという希望条件では、高単価でも即戦力を求めるフリーランス案件では難しかったようです。
Spread Sheetで進捗を管理するようにしたら効率が上がりました。
当初はWantedlyとGreenで気になるした企業・LinkedInでスカウトがきた企業・フリーランス面談で紹介された企業...など、それぞれの企業とのやりとりの進捗を一元的に管理できなくて混乱したので、作って正解でした。
2020年2月:面談と面接
この時期はひたすらに数をこなすという形で、業務後の平日18時〜21時の時間帯で週に2~3社と面談をするということを続けて、自分の希望条件により近そうな企業を見出しつつ、自分の希望条件を微修正していきました。
応募した企業と、スカウトをいただいた企業をあわせて、11社と面談をしました。
2月の頭時点である程度、自分の希望する企業が固まってきたので、最終的に選考に進んだのは5社でした。
面談・面接時にやったことで、良かったなと思うことは以下の3つでした。
面談・面接時にやって良かった
- ①会社の事業・開発状況を調べ、事業・開発の課題に仮説を立てて、質問回答・質問する。
- ②想定質問への回答はあらかじめ作っておく。
- ③各社から最終的に内定をいただくタイミングを重ねる。
①会社の事業・開発状況を調べ、事業・開発の課題に仮説を立てて、質問回答・質問する。
採用する側の視点で考えると、自社の開発環境で成果を出してもらえる人材かどうか?を一番見ると思っていたので、一緒に働いて成果を出しているイメージを持ってもらうにはどうすればいいか?を考えながら先方からの質問への回答、こちらのからの質問をするようにしました。
これをやってのぞんだ面談面接と、やらずにのぞんだ面談面接では、先方の反応が段違いだったので、必ず事前に時間を作って取り組んでおくことにしました。
失敗したのは、このことに気づく前に希望度の高い企業の面談にのぞんでしまったことです。表面的な質問回答・質問しかできず、先方の反応も最悪だったので、めちゃくちゃ後悔しました...。
②想定質問への回答はあらかじめ作っておく。
面談や面接の場でよくされる質問は、どの企業でも似通っていました。
・これまでの機会選択理由とこれからのキャリア観、転職理由
・普段仕事で利用している技術をどこまで深く追えているか
・取り組んだプロジェクトの事業的背景、自分の役割、成功失敗要因と課題と改善点
・普段の技術的学習・アウトプット
・etc...
それぞれよく聞かれる質問には、質問の背景(企業側が選考する材料としたい情報)があるはずなので、その質問の背景は何か?に答えられるような回答を事前にある程度用意しておきました。
こちらに関してもSpread Sheetにまとめておいて、面談面接の前に軽く見直して、面談面接後に新しい質問・発見があれば加筆するようにしていました。
面談・面接でよくされる質問とその背景は、↓この辺の記事が参考になりました。
面接時に見ているポイント - VOYAGE GROUP techlog
→VOYAGEのCTOの@makogaさんの記事。面接での質問例と意識しておくべき回答方法を学べました。
エンジニア採用面接での「質問項目」と「意図」を公開する - Qiita
→面接でよく質問されることの一覧がまとまっていて、質問例として参考になりました。
③各社から最終的に内定をいただくタイミングを重ねる。
大企業だと状況が違うかもしれませんが、僕の希望する比較的規模の小さい会社だと、内定を出してから承諾 or 辞退するまでの時間は短い方がいい企業が多かったです。
採用人数が限られている中で複数の候補者を選考しているので、1人の候補者が内定から承諾 or 辞退までの時間をとりすぎると、他の候補者を待たせてしまうという事情がありそうでした。
内定獲得後の給与などの条件の交渉を進める上でも、内定が出ている他企業との相対的な条件が考慮されるので、できるだけ内定時期(最終選考の時期)は重ねた方がよかったです。
ぼくは2週間以内にまとめましたが、それくらいの期間を内定結果報告の許容範囲とする企業が多かったです。
今回の面談、面接で各種サービスを使ってみた感想も軽くまとめておきます。
面談・面接時に使ったサービスそれぞれの利用方法と感想
Green
(画像:Green)
Webエンジニアの転職では業界でも長くて、知名度も高いGreen。転職するなら多くのエンジニアが一度はお世話になると思います。
求人掲載型のサイトあるあるですが、応募した求人が実はすでに募集を打ち切っている場合なども多く、気になる(応募)しても反応すらないこともざらにあるので、気になった企業にはとりあえず「気になる(応募)」をしていくという形をとりました。
後述するWantedlyなどとは違って、採用報酬型のモデルになっているために企業側の採用コストの面では負担が大きいので、資金調達をしたスタートアップ、資金のあるベンチャーなどの求人掲載が多かった印象です。
実際、今回の転職活動で一番報酬提示額が高かったのはGreen経由でスカウトをいただいた企業でした。
(画像:LinkedIn)
転職活動を始めるまでは名前くらいしか登録していませんでしたが、職務経歴をしっかり登録するとスカウトがくるようになりました。
LinkedIn経由では5社連絡をいただき、その中で選考に進んだのが1社でした(最終選考で残念ながら選考NGでしたが)。
LinkedInは、つながりの数が多ければ多いほど採用企業からの検索などで露出しやすいようで、つながりが増えるに従って連絡が来ることが増えていきました。
また、企業の採用を請け負っているヘッドハンターの方や、複数の企業に紹介することができるヘッドハンターの方からの連絡はめちゃくちゃきました。1日に何通も来るので1度だけ面談してみましたが印象は悪かったです。
自分の希望する条件を説明したにもかかわらず、「社会的に意義があるこちらの会社はどうですか?!」と希望条件に合わない企業を紹介してなんとか自社の採用仲介成功をさせようとする姿勢を一貫していて、面談したのは間違いだったなと感じました。
Wantedly
(画像:Wantedly)
スタートアップやベンチャー企業の掲載が多いWantedlyでは、報酬面以外で自分の気になる条件に合っている企業を探しやすいので、気になる企業を見つけては「話を聞いてみたい」を押していきました、
Wantedlyは採用企業側の導入コストが安くて転職成功報酬も発生しないモデルだからか、採用予算の少なめの会社の求人も多く掲載されていて、若手〜中堅エンジニア向けの転職サイトだなと感じました。
ちなみにぼくは、Wantedly経由で応募した企業への転職が決まりました。
Geekly
(画像:Geekly)
ゲーム業界やWeb業界の転職を専門とする転職エージェントのGeeklyも利用させてもらいました。
一度面談をして転職希望条件を話し、そこで10社程度紹介されて書類選考を受けてみることになりました。
直応募ではなく、Geekly担当者を介して企業側の採用担当者と連絡することになるので、面接の日程一つ設定するのも時間がかかって体験としては良くなかったです。
やはりエンジニアは自分で気になる会社を探して直応募する方が転職活動はスムーズに進むなと実感しました。
フリーランス案件紹介
フリーランスに関しても候補として考えていたので、レバテックフリーランス・geechs jobでそれぞれ小一時間面談をしました。
(画像:レバテックフリーランス)
先にレバテックフリーランスで面談をしたのですが、フリーランスの単価の相場観、どの程度のスキルが求められるのか、フリーランスの案件の移動、スキルアップの方法など、正社員で働いているだけでは知ることができない多くの情報を知ることができました。
フリーランスにならないにしても、フリーランスの相場観と案件の状況は定期的に頭に入れておきたいなと強く思いました。
この時期に、雑食系エンジニアサロンという勝又さん(@poly_soft)という方の運営しているオンラインサロンの存在を知り、入会することにしました。
2020年5月8日時点で、1800人程度が参加しているエンジニアのコミュニティで、駆け出しの方から業務歴5年〜10年程度のエンジニアまで幅広い層のエンジニアが所属していて情報の定期的な取得という意味で大いに活用させてもらっています。
また、レバテックフリーランスの面談ののちに、geechs jobでも同じように面談をしました。
詳細は伏せますが、面談後の転職状況確認の連絡での先方の担当者の方の態度・人間性がひどく、ここのサービスは今後二度と使いたくないと感じました...。
2020年2月:内定条件交渉、現職場に退職の報告
内定が2月の中旬頃に出きったので、内定条件の交渉を進めていきました。
内定条件の交渉は人生初だったのでドキドキしました。とくに資金調達ができているスタートアップの場合は、ここで大きく報酬が上がりました。
実際、各社からいただいた給与の条件を他社にも伝え、当初想定していた年収より多く提示してもらうことができました(とはいっても元の給与は高くなかったので、東京の年収の中央値くらいでした)。
どんなに希望する会社が少なくても、複数社から内定をもらっておくことで、提示される報酬は上がるんだなと学びました。考えて見れば当然のことですが。
僕の場合は、最終的には報酬の高さは度外視しました。自分がもっとも成果が出せそうで、自分の希望する技術を扱える可能性が一番高い企業の内定を承諾することになりました。
退職の報告
内定が出たタイミングで、現職の直属の上司へ退職報告をしました。
退職の報告は最低でも退職日の1ヶ月以上前と従業員規約に載っていたので、退職日の1ヶ月半前には連絡をすることにしていました。
会社によると思いますが、余裕を持って2ヶ月以上前に連絡できておくと良さそう。
上司に退職の報告をしたときにはかなり驚かれましたが、「残念ですが、次の挑戦を応援しています!」と言っていただけて身が引き締まる思いでした。
直属の上司に退職の報告をした後に、社内での連絡(対象と時期)をどうするかを相談し、特にお世話になった同僚や上司にはできるだけ直接退職の旨を伝えるようにしました。
退職を報告して、最終出社日まで2週間を切ったタイミングで新しい仕事は基本的に受けず、自分が今まで属人的にやっていた仕事をドキュメント化するなり、社内のメンバーに引き継ぐなりして過ごしました。
まとめ
以上、「【要保存】初めてのエンジニア転職活動でやったこと・参考情報・学びを全てまとめた」でした。
僕自身、Webエンジニアとして初めて転職するときに転職をするにあたってやるべきことの全体像を知らなかったので、転職前に知っておきたかったことをまとめておきました。
これからの時代、エンジニアが一社だけで職業人生を終えることはありえなくて、数年で職場を変えてキャリアアップしていくという人が大半になると思います。
今回初めての転職活動を終えてみて、転職はパッと思いついてすぐにできるものではなく、長期的に備えておいた方が成功させやすい(自分の希望する職場から内定をもらいやすい)と思うので、事前に準備しておくことが何よりも大事だなと感じました。
まずは転職先での仕事でしっかり成果を出せるように働きつつ、自分のキャリアを長期的に良くしていくために定期的に職務経歴書を更新したり、長期的にしか向上しないアルゴリズムの学習を進めたり、次に挑戦したい職種や技術の学習を継続していこうと気持ちを新たにすることができました。
これからも精進していきます。
では。