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【書評】『FACTFULNESS』何も変えられないと嘆く現代人へのアンチテーゼ


ハンス・ロスリングさんの『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』を読みました!


数日前から社内Slackで話題になっていて気になっていたのですが、けんすうさんもオススメだと太鼓判をおされていて、読んでみることに。


一般的に事実だと理解されていることが実は誤解であることを世界銀行や国連のデータをもとに検証し、具体例とともにどのような時に誤解をしやすいのかが説明されていて、目からウロコが落ちる指摘がめちゃくちゃ多かったです( ・v・)/


世界各国の社会問題・経済状況に関して新たな視点で見れるようになるので、めちゃくちゃ読んで良かった1冊でした。



読んで印象に残った点


参考になった点をまとめておきます!!


人は本能的に誤解をしてしまう


人は本能的に誤った認識を持ってしまいやすいものだということが、本書の中で一貫して指摘されていることでした。


例えば、ダボス会議で二酸化炭素排出量に関して議論されていた時。EU加盟国のとある参加者が「中国はアメリカよりも排出量が多く、インドはドイツよりも排出量が多い。このまま成長し続けると両国の二酸化炭素排出量は膨大になっていくから規制するべきだ。」ということを指摘した。


その指摘に対して、インドの環境省は以下のような反論を展開。


・これまで100年間、二酸化炭素排出を進めて来たのはインドや中国ではなく米国・西欧諸国である。
・これからは1人あたりの二酸化炭素排出量で議論をしようと提案する。


この例は、国民の数を考慮せずに二酸化炭素の排出量を国別に算出したデータだけを元に指摘をしたEU加盟国の参加者と、国民の数を考慮に入れて問題を正しく把握して議論しましょうという指摘をしたインドの環境省の見えている事実の違いを明らかにした。


上記の例のように、日常生活において「なんとなく正しそう」というデータをもとに考えを進めてしまうと間違った認識のもとで間違った結論を出してしまう。そのことを認識してファクトフルネス(ファクトを正しく把握して、生産的な行動をすること)をしていく必要がある。



また、他の例として安易に犯人探しをしてしまう本能も指摘されていました。


「製薬会社が、マラリアなどの貧困層の人々が苦しみ命を落としている病気に対しての治療方法を開発していない。」という事実に対して、多くの人は安易に犯人探しをする。著者はこれを犯人探し本能と読んで注意を呼びかけている。

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「こいつが悪いんだ!」と悪者を特定して、その諸悪の根源を撃退すれば万事うまくいくんだ!と思ってしまう。

...ぼくたちはヒーロー漫画を読みすぎたのかもしれない。


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冷静になって考えると、製薬会社の社長や役員に経営の意思決定権があるのか?と考えると意思決定権は株主にあることがわかる。

そして、大手製薬会社が上場しているとすると、株主が経営の意思決定権を持っていることを意味する。

大手製薬会社が安定的な事業を運営していて安定して配当を出している優良株だったとしよう。この場合株主は多くの祖父母層になっていることが容易にわかる。

そして、祖父母が受けとった配当金からお小遣いを受け取って遊びに使っている自分たち。


ここまで事実をたどると事実が大きく違って見えてくる。「製薬会社の経営方針が許せない!」という怒りの矛先は本当に経営陣に向けるべきなのか?自分たちもその問題に関与しているのではないか。


犯人探しを安易に行ってしまうと、犯人を特定した(と誤解した)時点で思考停止してしまう。そして、事態は何も好転しない...。



可能主義者となれ


本書の中で、著者のハンス・ロスリングさんは「可能主義者」として生きることの重要さを指摘されていました。


可能主義者の私は、...現状をきちんと把握し、生産的で役に立つ世界の見方をもとに行動をする。
(引用:FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣


ネガティブな考え方に陥ると、目の前の状況をよくしていくことができないと認識して行動しなくなってしまう。

逆に楽観主義になると、物事を正しく把握せずに物事を楽観的に捉えて正しい行動を取れない。

可能主義者として生きることで、「目の前の事象を正しく認識すれば、現状を少しずつ良くしていくことができる!」と考えて生産的な行動をとることができるようになる。


この指摘は間違いないなと感じましたね。


日本の現状の課題認識と今後どうするべきかの落合さんのスタンスもここで言われている可能主義者に近しいものがある気がする。

落合 たしかに、そこが重要。高齢者の延命治療はある程度自費で払うことにして、在宅化をすすめれば、社会保障費をカットしつつステークホルダーを納得させることができるんじゃないか。でも、現状を変える必要がないわけですよね。この問題は結構ヤバいな。どうするんだろう?

古市 もうどうにもならないんじゃないの?

落合 いやいや、どうにもならなくはないでしょう。考えないと。背に腹はかえられないとなれば――。
(引用:(2ページ目)落合陽一×古市憲寿「平成の次」を語る #2 「テクノロジーは医療問題を解決できるか」 | 文春オンライン


「自分のできることなんて何もないんじゃないか?」と思ってしまうと、努力することすらやめてしまいますからね。

自分自身を振り返ってみても、大学受験の勉強期間とかプログラミングを始めたばかりの頃とかネガティブになって努力をやめた時期がありました。


そのスランプ状態から抜け出せたのは、1週間前より今週、昨日より今日の自分のできるようになったこと・新しく学んだことを振り返ってみて自分の成長を実感することが有効でした。

これも可能主義者の行動の一つですかね( ・v・)b



世界の事実認識をアップデートせよ

本書では、世界が徐々によくなってきていることを証明する複数のデータを可視化したサイトのことが紹介されていた。

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(画像:Gapminder Tools


www.gapminder.org

いろんな世界のデータが時代別に確認できて面白い。



まとめ


以上、『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』の書評でした!


「データを元に事実を正しくとらえることは、めちゃくちゃ大事!...って。いやいや、そんなこととっくに分かっているよ。」と思っていましたが、本書を読み進めていくと全くと言っていいほど事実を捉えることができてなかったんだなと改めて気づかされ、打ちのめされます...。


ハマりやすい罠にひっかかって間違った判断をしてしまわないためにも、本書で説かれているファクトフルネスを日常生活で実践していきたいです( ´ v ` )ノ


ここまで記事を読ませておいてアレですが、この記事で書いた内容は、本書を読むことで得られる気づきの1%にも満たないです。

ぜひ本書を読んでみて欲しいです。あとがきまで読むのを強くお勧めします。

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
ハンス・ロスリング (著)
日経BP社 (出版)
2019-01-11 (発売日)
¥ 2,599より 3 中古品の出品中
*価格と出品数は2019年1月19日時点のもの


最後に、ハンス・ロスリングさんのTEDでの講演動画も載せておきますね。

www.ted.com


では!