ガートナーのハイプサイクルの2018年版が発表されたようですね。2018年はディープラーニングやデジタルツインが注目を集めているようで、コネクテッドホームやブロックチェーンへの過度な期待が徐々に落ち込んでいく時期だとされています。
今回は、2013年から2018年までのガートナーのハイプサイクルの内容をみていき、本当に技術的なトレンドを捉えられているのかを検証してみたいと思います。
ガートナーのハイプサイクルとは?
ガートナーのハイプサイクルとは、今後10年間のデジタル技術への注目度や関心度を表す指標であり、横軸に時間軸、縦軸にその技術に対しての期待度を表現しています。
最先端技術に対しての期待度は、その技術を表す言葉が社会で頻繁に使われ始めるようになると徐々に「この技術が世界を変える!」と過度な期待値が高まり、その期待値が一定以上になると急激にその技術に対しての関心度合いが下がりっていきます。最近でいうと2012年~2013年にかけて暗号通貨(Crypto Currency)への期待値が急激に上昇し、2013年には急激に暗号通貨への期待度が下落していきました。そこから徐々に技術が使われるサービスも増えて行き、2017年度に再度期待値が急激に上昇して2018年の今は急激に幻滅期に突入しているという流れを辿っています。
今後社会にどのような技術が普及していき、自分の関わっている事業や会社にどのような影響を与えることになるのかを考えたり、どのような技術を学んでいく・投資していくかを考える上で参考になる考察だと思います。
2013年~2018年のガートナーのハイプサイクル
それでは、2013年から2018年までのガートナーのハイプサイクルを古い順に見ていきます。
2013年
(画像:Newsroom)
2013年はIoTや自動運転技術に対して徐々に期待が高まってきていて、ビッグデータや3Dプリンター、ゲーミフィケーションに関しては過度な期待が集まっていて、クラウドコンピューティングやVRへの期待はガクッと下がっていたことが示されています。
これは確かに納得で2013年には「ビッグデータで全て解決する!」「ビッグデータの時代だ!」ということが声高に言われていて書店にもビッグデータ関連の本や雑誌が並んでいた記憶があります。視覚障害者の方を乗せた自動運転車が走行に成功した動画が公開されるなど、自動運転やIoTはこの頃には徐々に社会での認知度が高まってきている頃ですね。
2014年
(画像:Newsroom)
2014年にはデータサイエンスやスマートアドバイザーなど、データを駆使して分析や最適なレコメンドを行う技術が徐々に社会で市民権を得ていったことがわかります。IoTにはあいかわらず過度な期待が寄せられていて、ゲーミフィケーションや暗号通貨への期待は急激に下降していっています。(2013年時点では暗号通貨が含まれていない...。)実際、これ以降の暗号通貨への期待度(≒暗号通貨価格)は徐々に下がって横ばいの時期が続いています。
2015年
(画像:Newsroom)
2015年にはIoTの社会的認知が高まったことで簡単にIoTサービスを実現することができるIoTのプラットフォーム技術や、セキュリティに対しての危機意識と手動で対策することの難しさを背景に、ソフトウェアによってセキュリティを実現する技術が注目され始めています。IoTや自動運転に対しては過度な期待が集まっており、暗号通貨や3Dプリンターへの期待度は急激に下がっていっています。
特に暗号通貨取引への期待度は最底辺まで下がり、ここから徐々に上がっていくのではないかという見たてがされています。実際には2016年末から徐々に暗号通貨への期待と価格上昇は本格化しましたが、わりとハイプサイクルの理論通りの動きになっているのではないかと思います。
2016年
(画像:3 Trends Appear in the Gartner Hype Cycle for Emerging Technologies, 2016 - Smarter With Gartner)
2016年にはブロックチェーンやスマートロボットへの関心が徐々に高まり、機械学習やソフトウェアセキュリティには過度な期待が集まり、自動運転やAR技術への期待は徐々に下がって、VRへの関心は徐々に高まっていることがわかります。日本では「2016年がVR元年!」みたいな雑誌のキャッチコピーをよく見ましたが、一旦過度な期待を寄せて幻滅されてから再度社会的に期待値が高まってきたタイミングは元年と呼んでいいものなのか...。
2016年の8月に公表されたガートナーの記事にブロックチェーンが載っていることを見て、「今後ブロックチェーンへの期待が伸びていくなら暗号通貨への期待も伸びていくだろう。であれば、暗号通貨に投資するなら今だな」と考えられて行動できた人は、価値の差分から利益を得られたんだろうなあと。
これを考えると、2018年の時点で「徐々に期待値が高まっている & 投機性のあるものとの関連度が高い」ものに注目するのはありかもしれませんね。
2017年
(画像:Top Trends in the Gartner Hype Cycle for Emerging Technologies, 2017 - Smarter With Gartner)
2017年は、会話型インターフェースや脳の電子信号で直接デバイスを操作できる技術に徐々に注目が集まり、ディープラーニングやスマートホームへの期待は過度に高まって、自動運転やブロックチェーンへの期待は徐々に落ち着いていっているようですね。
2017年はブロックチェーンへの過度な期待が生まれていましたが、今となっては古参となって事業を運営している会社が強豪となり市場内でのプレイヤーも徐々に確立されつつあるのかなと感じています。
エッジコンピューティングやサーバーレスSaaSなどは社内でもまだまだ言葉を聞くことは少ないので、社会的な認知はこれからですかね。
2018年
(画像:5 Trends Emerge in the Gartner Hype Cycle for Emerging Technologies, 2018 - Smarter With Gartner)
2018年現在は、AIのプラットフォームサービスや自動運転技術が徐々に認知を得てきており、DNAチップやデジタルツインが過度な期待を寄せられつつあり、スマートホームやMRは徐々に関心が薄れていっているようです。
自動運転車への期待が2016年には下がっていっていたのに、2018年に自動運転技術への関心が高まっているのはおもしろいですね。自動運転車を売ることではなく、自動運転をする技術がビジネスとして重要な役割を持つのではないかと再認識されたということでしょうか。
個人的には、Blockchain for Data Security(データセキュリティのためのブロックチェーン技術)が関心を集めてきていることが気になりました。今後ブロックチェーン技術を活用したサービスが増えていった際に、ブロックチェーン上のデータを改ざんや悪用からどのように守っていくのか、その技術が今後徐々に重要になってくることは間違いないと感じています。
Webサービスが主流になって行く過程で各社が自前でやっていたデータの管理やインフラの整備をAmazonやGoogleなどがPaaSを提供したことで各社は簡単にデータ管理・インフラ整備ができるようになったように、ブロックチェーン関連サービスでも基盤となるサービスは価値が高まっていくのではないかと。
まとめ
以上、2013年から2018年までのガートナーのハイプサイクルを見ていきましたが、ハイプサイクルは今後社会で広く使われるようになっていく技術を知るきっかけになるし、今後価値が向上していく領域を考察する材料にもなると思います。
じっくり見たことがない方はぜひガートナーの本記事も見てみてください〜。
では!