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ソーシャルスコアの仕組みによってRPGゲーム化する中国社会


一昔前は中国人観光客の悪行がニュースで何度も報道されるなど、その素行の悪さが印象付けられている中国。そんな同国で、あらゆる行動を相互に評価しあうことで行動を正していくインセンティブを生む「ソーシャルスコア」という仕組みが導入されているようです。

個人の行動を「マナー」などの行動習慣によって正すのではなくて、「性悪説に基づいて行動に悪い評価がされると自分に損失が生まれる」という仕組みは合理性を追求しがちな同国の国民性に合致している良い仕組みだと思います。今回はそんなソーシャルスコアの仕組みに関して。


ソーシャルスコアとは?

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ソーシャルスコアとは、まだ明確な定義がされていない概念ですが、インターネット上での影響力、情報発信力などを数値化したものだとされています。各種計測サービスによって計測方法・スコアランクが異なるので、一意なソーシャルスコアというものはまだ定義がない状態です。


サンフランシスコに拠点を置くKloutという会社が2008年にサービス提供を開始したソーシャルスコアサービスでは、SNS上での個人の発信力・影響力を可視化することができ、そのランクの高さによってスポンサー企業からサービスを受けることができたりと恩恵を受けることができます。

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(画像:https://klout.com/home


ちなみに、僕のTwitterのソーシャルスコアを計測した結果がコチラ。

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(画像:https://klout.com/

Kloutスコアは1~100の間で数値されていて、平均値が41点程度なようなので、僕は平均ちょい上なソーシャルスコアを持っているということですね。THE一般人。内部の評価ロジックは知ることができませんが、フォロワー数はもちろん、発信しているコンテンツの質もスコア評価項目として換算されるようです。


中国でのソーシャルスコアの実情

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中国では2014年に全国的な社会信用枠制を策定する計画が発表された。それまで中国は正式な信用格付け制度を持っていなかったため、何億人もの中国国民が借り入れをほとんどやっていない状況でした。

それと同時期に、Alipayのようなモバイルペイメントアプリの波が中国全土に広がってきました。Alipayはプラットホーム上に5億人以上の登録ユーザーを抱え、全国的に普及しています。これによって初めて、何百万人もの人々の信用と取引履歴を追跡することができるようになりました。

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(画像;Tech in Asia - Connecting Asia's startup ecosystem


アリペイの信用評価機能である芝麻信用では、支払い履歴(ホワイトおよびブラック情報)のほか、個人の学歴や職歴、マイカーや住宅など資産の保有状況、交遊関係などをポイント化。信用度を350~950点の範囲で格付けし、その点数を与信や金利優遇などの判断材料にするほか、本人にも公開されています。 信用の点数化は5つの領域──〈1〉身分特質(ステイタスや高級品消費など)〈2〉履約能力(過去の支払い履行能力)〈3〉信用歴史(クレジットヒストリー)〈4〉人脈関係(交友関係)〈5〉行為偏好(消費面の際立った特徴)に分けて行われている。
(引用:「信用」が中国人を変える スマホ時代の中国版信用情報システムの「凄み」

5つの項目によって評価されるということですが、借りた分を即座に返すことができる資金力があり、プラットフォーム上で適正な行動をとっているかどうかという点がランクに反映されるようです。

アリペイという決済手段と各種サービスが紐付いていることで、シェア自転車の利用情報、返却状況なども連携が可能とのこと(決済をアリペイ経由で行うため)なので、あらゆるサービスのユーザー行動が強制的に評価されます。さらに、各種サービスは利用すれば利用するほど利便性、データがたまる、ネットワーク効果が働くなどで、評価が悪くなったからといってすぐに新しいアカウントに乗り換えづらい。という特徴を持っていて、仕組みとして良くできているなと思います。

この制度に関して中国ミレニアル世代の若者は歓迎している傾向にあるようです。自分の行動が比較的明確な基準によって評価され、他の人の評価も明確に分かるという点が評価に値するとされているようです。


個人的には、評価のロジックがある程度明確な上でのランク付けがされるのは良い仕組みだと思います。それによって社会悪になるような行動が抑制され、社会全体の利益になるような行動が評価されるようになり、行動を改善すれば良い結果としてフィードバックが返ってくるのは生きていく上で分かりやすくて好きです。


まとめ

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中国のソーシャルスコアの仕組みに関して見てきましたが、以前このブログでも紹介したエストニアのブロックチェーンでの国民情報の管理も思想的には近しいものを感じます。

日常の行動がすべて明確な基準によって評価されて、ランク付けというフィードバックが返ってくるという仕組みは、ドラクエなどのRPGゲームのような世界観と近いような気がします。行動を改善することでフィードバックが即座に返ってくるという仕組みは報酬系を働かせやすいと思うので、この仕組みが現実社会ではどのように働くのか今後が楽しみです。


【参考記事】
Tech in Asia - Connecting Asia's startup ecosystem
覚醒する中国人のプライバシー ~デジタル実名社会で揺れる個人の権利意識
「信用」が中国人を変える スマホ時代の中国版信用情報システムの「凄み」


では!